2年前に母が脳出血で倒れてから、
父と老後について話をするようになりました。
(というか、当時75歳の父、
すでに十分老後なのですが、
まだ現役で働いているせいか、
老後に入っている認識が全然ない^^;)
具体的には、お金をどうするか、
ということです。
父は個人タクシーの運転手で、
今も週5日フルに働いています。
50代までは、住宅ローンを払いながら
私と姉を大学まで上げ、
一家5人を養うのにせいいっぱい。
70歳を前に住宅ローンが完済し、
家族も父と母だけになり、
ようやく貯金に手が回るようになりました。
…老後に差し掛かってから貯蓄を始めるって、
ある意味すごいですよね^^;
綱渡り感半端ないが、それができるのが
定年のない自営業の強み。
今のタクシーは儲からないと言われていますが、
たしかに全盛期よりはるかに少ないものの、
長年のキャリアからまだまだ十分な
稼ぎがあるようです。
・・・・
さて、いまだ老後に入っていない(つもりの)父。
できた蓄えは子供たち、
さらには孫に残したい、と言います。
「いやお父さん、
お金は自分が生きているうちに使わなきゃ」
「元気なうちに旅行に行ったり、
人生楽しんでおかないと」
と言っても、
「子供や孫に資産を残せなかったら、
何のために生きてきたかわからない」
「仕事が趣味だし、別に旅行にも行きたくないし、
お金の使い所がない」
…と、なんというか、
典型的な昔の人の考え方ですね^^;
まあどうお金を使うかは、
父本人が気の済むようにすればいいんですが。
相続となると、孫には簡単に残せないので、
今のうちに生前贈与をできる限りしておきたい
とのこと。
「いくらあげればいい?」
と、急にお大尽なことを言うけれど…^^;
たしかに、貯金の額面だけ聞けば、
それなりではある。
けれども、病気の母が今後老人ホーム等の
施設に入る可能性があるし、
今は元気な父自身(おそらく長生きしそう)も、
80代、さらには90代になったら、
最終的に施設に入ることになるだろう。
・・・・
「お金のことはおまえに任せた」
「どうしたらいいか、考えてみてよ」
と丸投げされたので(*_*)
いちおうFP2級、いろいろシミュレーション
してみました。
大変不謹慎ですが、ここはシビアに、
病気の母は85歳くらいで亡くなり、
やたらと元気な父は95歳まで生きると仮定。
1 母も父も施設に入らない
2 母は80歳から5年間施設に入り、父は入らない
3 母は施設に入らず、父は85歳から施設に入る
4 母も父も上記の年齢で施設に入る
以上の4つのシナリオで計算してみました。
父は80歳まで働く前提、
それ以降は2人の年金で暮らしていく計算です。
こんなとき、家計のキャッシュフロー表が便利です。
日本FP協会のサイトにある、excelデータを
使いました。
https://www.jafp.or.jp/know/fp/sheet/
家族の年齢と、毎年の収支を
入力していきます。
こうやって年齢で書き出すと、
ようやく将来がリアルに見えてくるんですよね。
自分が○歳のとき、子供は○歳、親は○歳と
わかると、あと何年後にどんな費用が
発生しそうか(子供の受験、親の介護…)
一目瞭然になります。
・・・・
詳しい試算は省きますが、結論として、
厳しくないのは1のシナリオだけだと
わかりました。
つまり、父母どちらも施設に入らずに
亡くなる、というものです。
いわゆる「ピンピンコロリ」ですが…
まあ、まずあり得ないですよね。
次に資金的にラクなのは、2のシナリオ。
片方が施設に入るという点では3と同様なのですが、
3は父が10年の入所になるので、
それだけ負担が大きくなる。
さらにいえば、母が亡くなったら
母の分の年金がごそっとなくなります。
母は結婚前の15年間、厚生年金に入っており、
その分が上乗せされ、全部で月約9万円の支給額です。
これがなくなるのは家計的に大きな痛手…
今は父に収入があり、母の年金は
母の貯金となっていますが、
父が仕事をやめたら、家計の貴重な収入源となります。
そして、父自身の年金というと、
国民年金オンリーの場合、満額月約6万5千円ですが、
基金も別に積み立てており、母より少し多めの支給額。
2人分をあわせれば、ローン返済もない身、
十分暮らしていける。
でも、これが父の分だけとなると…
とはいえ、2と3どちらが現実的に
可能性が高いかというと、3だろうと思います。
母の介護はある程度までは父ができるが、
父の介護の担い手はいない(離れて暮らす私には無理)。
認知症等にならなくても、自立生活が難しくなり、
老人ホームに入る方が本人もラク、
という状況にもなりうるでしょう。
そして、父の母への介護も限界がある。
そうなると、4のシナリオも圏内になってくる。
・・・・
以上を計算したら、孫に生前贈与できる分など
まったくない、とわかりました。
貯蓄を取り崩して生活費にあて、
施設入所に使ったら、いくらも残りません。
「人生の最後に、余った分をください」ですね。
そもそも父が何歳まで生きるかわからない。
100歳までだって生きる可能性も…
言うところの長生きリスク、
貯蓄はいくらあっても多すぎることはないのです。
父もにわかに貯蓄ができて、
気が大きくなっていますが、
考えてみれば会社員の人たちは
定年時にまとまった退職金をもらっているわけで。
そのお金は老後の生活費に充当されるはずです。
父が今貯めているお金は、
遅れてきた退職金、なのですね。
余剰金ではない。むしろ、貯められていなければ
老後の生活に困窮するところでした。
(あるいは、施設のお金を娘である私が
肩代わりするか)
・・・・
自営業者の老後…
こと年金ということで見れば、
なかなかにシビアです。
若いうちに相当貯めておかないと、
引退もおぼつかない。
(…自営業は自由なのは素晴らしいですが、
シビアさも間近で見てきているので、
私は会社員をやめる勇気が湧きません)
ただ一方で、先にも書いたように、
「年をとっても働き続ける」
という選択肢があるのも、自営業。
父はいちおう、「80歳まで働く」
と言っていますが、あと3年。
今の様子じゃ、引退しないんじゃないかなあ。
本人としては「死ぬまで働きたい」
のでしょうね、たぶん。
(そんな超高齢ドライバーのタクシーに
乗りたくないですが…)
「仕事してるときが一番楽しい」人なので…
まあ、それが張り合いとなり、
いつまでも元気なのだろうと思います。
・・・・
父の実家は農家で、家長である父の8歳上の長兄は、
まだ田んぼに出ているようです。
数年前に会った時、全然年をとっておらず、
肌がツヤツヤして背中もまっすぐなのが印象的でした。
現役の人はずっと元気という証左ですね。
家計の収支を考えれば、
80歳以降も働いたほうがいい。
これまでのように週5日フルは無理でも、
たとえば週2~3日数時間働いて、
数万円でも稼げれば、家計はずっとラクになる。
なにより、貯蓄を取り崩す額が減るのが、
精神的にも安心でしょう。
父を見ていて、私も働けるうちは
ずっと働きたいものだと思っています。
我が家に来てもらっている70代のシルバーさんも、
「こうして掃除をするのが良い運動になってます」
とおっしゃるし。
「死ぬまで働く」というのも、
あながち悪くないかもしれません。