今話題の、こちらの本を買いました。
池上彰氏監修『なぜ僕らは働くのか』。
先日乗った地下鉄でも、大きく電車広告が打たれていました。30万部を突破したそうですね。
小学5年の息子が、
「これ、すごく良い本だよ!」
と言う。リビングに置き、たびたびページを開いています。
たしかに、この本、すごく良い本。
タイトルを聞いたときには、よくあるお仕事紹介的な、キラキラふわふわしたイメージ優先の内容かと思っていたけれど。
いやいや、かなり現実的な内容。「働く」とは、「お金を稼ぐ」とはどういうことか、「ビジネス書として大人も読める」と銘打たれていたのもわかる。
たとえば、「人生でかかるお金はどれくらい?」という項では、1カ月の生活費の内訳(食費に○万円、住居に○万円など)が具体的な数字で書かれている。
なんと、ここから教えてしまうのか!とびっくり。さすが池上さん、視点が違う。
こういうリアルな生活費のことって、「子供に教えることじゃない」と思ってしまいがち。
でも、本当はこういうことこそ、子供に教えないといけないことなんだよなあ。
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「生きるって、暮らしていくって、こんなにお金がかかるんだな」
これを子供にわからせるのって、すごく大切なことだと思うのです。
働くって何なのか。
仕事って何なのか。
自己実現?
いやそれ以前に、「生きる」ために、「食っていく」ために。それが働いてお金を稼ぐ一番の目的。
私もそれを子供に教えたいと常々思っているので、この本は「我が意を得たり」という内容だった。
小2の娘に、
「『なぜ僕らは働くのか』だって。なぜだと思う?」
と聞いたら、
「そんなの、お金を稼ぐために決まってるじゃん」
「お金がなきゃ生きていけないもん」
と即答してた^^;
親の仕事観が、すでにこの歳で浸透しているようで…
お金を稼ぐため。
身も蓋もないけれど、20年以上働いてきて思う。それって、すごくシンプルで自分を支えてくれる考え方なのです。
仕事に対して、必要以上の思い入れを持たずにすむというか。ここで働いているのは、究極はお金のため。そう思うから、メンタルをやられることがありません。
編集者という職業はクリエイティブ系というか、自己実現、自分のしたいことを形にする仕事だと思われがちですが。
私はそう思いながら仕事をしたことはない。会社に雇われている以上、利益を出すのが私の役割。
「自分はこうしたい」というのは、自分でお金を払ってするべきことで。「読者=お金を払ってくれる人が望んでいる」本を作るのが、私の仕事。
もちろん、自分自身が楽しめる本でないと読者にも受け入れられないのですが、それは私にとってあくまで手段であって。
自分が楽しめることは仕事の目的ではないのです。
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「お金を稼ぐため」と言っても、大金を手に入れ贅沢をしたい、という意味じゃない。
「自分の労働で自分を食わせていく」ということ。何はさておき、それが最大の目的。
そう子供に刷り込めていたら、大人になったとき、
「したい仕事が見つからない」
「社会に出たくない」
などということにならないんじゃないかと思うのです。
「したい仕事」とかじゃなく、まずは自分を食わせるために、どんな仕事でもいいから働く。それは絶対条件。
そして、「どんな仕事でも」では人間続かないから、これなら好きだし頑張れるという仕事を見つける。
「したい仕事」は、目的じゃなくて手段なのです。
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なぜ働くのか?
なぜなら、人が生きていくのはお金がかかるから。
そのシンプルな真実を真っ向から教えている本書、素晴らしいです。こういうことこそ、道徳の授業で教えてほしいよなあ。